小野小町の墓
2017/10/29 文化財
所在地:土浦市小野
小野小町の墓(石造五輪塔)。
小野小町は、絶世の美女とうたわれた平安時代の歌人で、言い伝えによると、京都から奥州(東北地方)に旅する途中、清滝観音から北向観音(石岡市小野越(旧八郷町))へ向かいお参りしたあと病に倒れ、この地の村長、小野源兵衛氏宅で親切な介抱を受けたが、元慶7(883)年7月7日69歳でなくなったといわれている。
小野家では、小町がこの世を去って以来、例年7月7日(旧暦)の命日には、代々供養を続け、昔は近郷からの参詣者がかなりあったようである。
小町の墓には、婦人病に悩む人たちや、参拝すれば美人になれるという話から年頃の娘がよく訪れたらしく、墓前には数多くの「ほうろく」(豆などを炒るときに使う素焼きのフライパン風のもの)が供えられていた。
これは、祈願をするときに一個借り、願いがかなえられたときに二個にして返納した。
また、墓の左側には、小野城主の小野氏治(天庵)が、小町の旧蹟が後世まで守り継がれることをを願って「心花石」と自署して彫らせたという石が残されている。
さらに墓前には、東京の高野常蔵氏が「夢の報せを得て、この小町の墓に詣でて祈願をこめたところ、医者が匙を投げた愛妻の奇病が全快した」お礼にと、明治41(1908)年7月に寄進した自然石造りの御手洗石がある。
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